目的地は、二人が時々通っていた居酒屋だった。
最初は趣味の話で場が盛り上がったが、酔いが回るとフリーは恋人の話をし始めた。
その人がどれほど優しくて面白いか、自分の運命の人だ、出会えて本当に良かったし幸せだと。
「フリー、飲みすぎじゃない?」
バンビはさりげなく話題をそらした。
「バンビにはいい人いないの? 私はバンビにも幸せになってほしいんだけど。」
フリーの言葉に、バンビは思わず膝の上に置いていた拳をぎゅっと握りしめた。
私が選ぶ相手はフリー以外にありえないのに。
「私はそういうのはまだ平気。友達と一緒にいるほうが楽しいから。」
「私はきっと、バンビが選んだ人ならうまくやっていけると思うんだよね。
それで私の家族とバンビの家族とで、みんなでキャンプにも行って、旅行にも行って……。」
「フリーは、私が一生そばにいると思ってるんだ?」
必死に作った笑顔でそう言うと、フリーは不思議そうに、
「え? 一生、友達でいてくれないの?」
と返した。
一緒にいたいと思ってくれている、そんな嬉しい気持ちと、結局は『一生の友達』でしかないという気持ち。
その二つが代わる代わる浮かんでは消える。
私はいったいどうしたいんだろう。
「縁があれば、かな。」
曖昧に笑うしかなかった。
