テーブルがドンと鳴る音に 我に返った
向かい側にはテヒが苛立ちをにじませた顔で
私を睨んでいた
「 今日なんかどうしたんだ? 」
「 あ.. 血糖値スパイクで疲れてるみたい 」
せっかくの言い訳が血糖値スパイクだった
疲れを口実に先に出ようとせかすと
きょとんとした顔で私についてきた
「 疲れてるって言ってたのに、なんでドライブ? 」
「 ちょっと風に当たりにでも~ 」

シートベルトを締めてすぐにエンジンをかけた
行き先も決めずにそのまま高速道路の方向へ走った
どこか行きたい場所はないのかという問いに
君は素直な顔で海を見たいと答えた
くすっと笑いが漏れた
突然、思いつきみたいな場所に行こうと言っても
どこへでも一緒についてきてくれそうなその様子が
内心かわいく見えた
しばらく道を走っていると じっとりしたあくびが聞こえた
少し横を振り返ると
テヒは今にも眠ってしまいそうな顔をしていた
「 うわ.. お前がさっき疲れたって言ってた理由がわかった 」
「 だろ、疲れるだろ? 」
「 うん… 」

「 少し寝て、着いたら起こしてやる 」
絶対寝ないと言い張っていたのはいつのことやら
椅子までしっかり後ろに倒してぐっすり寝入ってしまった
寝坊までしておいて何がそんなに疲れるのか
車に乗った途端に眠ったテヒが、なんだかおかしかった
気持ちとしては睡眠時間がほぼ新生児級だと
めちゃくちゃからかいたかったけれど
赤ん坊みたいに眠っているものだから 口元をにやりとさせながら笑いをこらえた
トイレにも寄るついでに少し休憩所へ入った
急いで駐車を済ませてトイレから戻ると
起きているはずだったテヒは
今までずっとぐっすり眠っていた
「 こいつ、この気温で半袖だけぽつんと着て出てくるのか.. 」
やけにすかすかに見える服装に
上着をさっと脱いで眠った体の上にかけてやり すぐに出発した
すっきりと開けた高速道路をずっと走って釜山方面へ抜けた
道に 車があまりいなかったせいか
予想していた時間より もっと早く着くことができた
その間テヒは一度も目を覚まさなかった
駐車を終えて小さな肩をそっと揺らし
眠っているテヒを起こした
テヒは腫れぼったい目を見開くと
腕をぐっと伸ばして伸びをした
「 もう着いたの? 」
「 起きましたか、兄貴~ 」
車を降りて見えた景色はものすごく美しかった

テヒは目が眩むほど輝く海を見ると
はしゃぐ子どもみたいにベンチへ走って行った

ベンチに座るやいなや
ぽかんとしたまましばらく黄色い海に視線を置いていた
私もぼんやりと水面のきらめきを見つめた
大きなテヒの瞳は
黄色い夕焼けに照らされてひときわきらきらしていた

海を見て夢中になっているテヒの瞳を
うっとりと見つめた
夕焼けを含んだ海の上で
銀色の波が静かに砕けた










