
捕食者
すべてが元の場所に収まった。少なくとも、他人の目にはそう見えた。
「…」
ジョングクはのんびりと椅子にもたれかかった。
「それで。」
書類を置きながら尋ねた。
「まだ行方がわからないってことか?」
「はい。最後に確認されて以来、特に動きはありません。」
「そうか?」
ジョングクは短く笑った。
「よかった。生きてはいるみたいだな。」
「……」
「何だ。ほかに言うことある?」
部下はしばらくためらってから、頭を下げた。
「じゃあ、出ていけ。」
ドアが閉まって初めて、ジョングクは手にしていた書類を下ろした。
「…」
まったく妙なことだった。欲しかったものはすべて手に入れた。組織も、権力も、あれほど望んでいた地位まで。それなのに、どこか物足りなかった。
「…」
ジョングクは椅子に深く身を沈め、鼻で笑った。
「まったく。」
7年だった。ひとりの人間を欺くには十分すぎるほどの時間。彼はその長い年月のあいだ、一度だって自分の目的を忘れたことはなかった。少なくとも、そう信じていた。
「…」
ふいに彼女の最後の顔が浮かんだ。
「…」
ジョングクは眉間にしわを寄せた。
「はあ…」
必死で消し去ったはずの顔が、なぜ今になって浮かぶのか。彼は苛立たしげに書類を閉じた。
「最悪。」
-
ドン、ドン -
続けて撃たれた二発の銃声。まさに混乱そのものだった。
「…」
組織内部で反乱が起きた日。廊下には切迫した足音と怒号が絶えず響き、あちこちで荒々しい取っ組み合いが起きていた。
「……!」
長く保たれてきた組織の秩序が、一瞬にして崩れ落ちていた。
逃げる者もいれば、生き延びるために仲間を裏切る者もいた。ほんの数時間前まで味方だった奴らが、互いに牙をむき合っていた。
「…」
まさに阿鼻叫喚だった。だがジョングクにとっては、それほど驚く光景でもなかった。すでに予定されていたことだったからだ。
「…」
反乱は思ったより早く進んだ。女の父親が死んでから少しずつひずみが生じていた組織は、結局その日を境に完全に分裂した。
「兄貴。言われたとおり進んでいます。」
ジョングクは特に返事もせず、ただうなずいた。
「そっちは?」
「まだ状況を把握できていないようです。」
「そうか?」
ジョングクの口元にかすかな笑みが浮かんだ。
「まったく、察しが悪すぎる。」
7年だった。その女のそばで笑い、しゃべり、ときには命までかけて積み重ねてきた時間。あの長い年月のあいだ、ジョングクは一度たりとも彼女に疑われたことがなかった。
彼女は自分を信じていた。もしかすると、この組織でいちばん信頼できる人間だと思っていたのかもしれない。
本当に滑稽だった。いちばん近くに置いていた相手が、自分のすべてを奪う人間だとも知らずに。
「兄貴、これからどうします。」
ジョングクはゆっくりと席を立った。
「どうって何を。」
彼は服装を整えながら笑った。
「終わらせるだけだ。」
あの日、彼女はすべてを失った。
父親が残した組織も、今まで守ってきた立場も、自分の人間だと信じていた者たちまで。
そして、そのすべての中心にいたのがチョン・ジョングクだった。
。
。
次話はヒロインのその日の視点で展開されます。
