「ここってバンド部のオーディションを受ける場所で合ってる?」
ドアがそっと開き、ひとりの少年が入ってきた。 半分寝ぼけた南イェジュンは、がばっと起き上がって言った。
「え? あっ! うん、ここで合ってる! オーディション受けに来たの?」
オーディションを受けに入ってきた子は、少し長い髪をひとつに束ねた金髪の少年だった。
「オーディションってどうすればいいの?」
イェジュンはその問いに少し考えてから言った。
「何でもやってみて。こんなふうに急に来てくれた子は初めてで…」
イェジュンは気まずそうに椅子に座った。黄色い髪の少年も自分の前で中途半端に立ったまま、ピアノを見つめた。
「あれ、使っていい?」
イェジュンはうなずいて言った。
「うん、かまわないよ。ピアノ弾けるんだね」
金髪の少年はうなずき、ピアノを自分のほうへ引き寄せた。
「電子ピアノだ。これ、久しぶりだな」
少年はピアノを確かめながら言った。
「そういえば聞いてなかった。君の名前は?」
「ハン・ノア」
イェジュンはうなずいて言った。
「きれいな名前だね。じゃあ、準備ができたら演奏して」
ノアはためらうことなく音楽を始めた。イェジュンはノアの歌のうまさに少し驚いた。
「お…けっこうやる子なんだ」
「結果は明日出るよ」
イェジュンはかすかな笑みを浮かべ、紙を差し出した。
「ハン・ノア、だよな? ここに君の携帯番号ちょっと書いて。結果を送らなきゃいけないから」
ノアは番号を書いたあと、イェジュンが椅子のそばに座ると言った。
「君はどうして一人でバンド部を作ったの?」
イェジュンはノアの番号が書かれた紙をかばんに入れながら言った。
「俺、音楽がとにかく好きなんだよ。同年代よりもずっとね。だからいつの間にか、どうしても音楽をやる部活を作りたいって思って作ったんだけど、人気がなくてさ。みんな放送部とか運動部とかに行っちゃうから。まあ、当然の結果かもしれない。音楽より体育のほうが楽しいのは事実だしね」
ノアはふっと笑って言った。
「まあ、たしかに一理あるよ。実は俺も歌が好きなんだ。でも友達にはちょっと変な目で見られるんだ。男の子がピアノ弾きながら歌うのかって」
イェジュンは笑って言った。
「えー! そんなのないって! 男だって歌っていいじゃん」
そうして二人で話しているうちに時間はあっという間に過ぎ、イェジュンは一人音楽室に残ってノアの番号と名前が書かれた紙を見つめていた。
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