僕たちは一線を越えないことにした(シーズン2)
114話。フンジの独り立ち

sophie97
2026.10.23閲覧数 32
彼女が書いておいたバケットリストの中で
いまや、たった一つの項目だけが残った。
[世界旅行する]
彼女は私と一緒に
どれほど長く旅をしたかったのだろう?
どれほどたくさんの国を一緒に回りたかったのだろう?
私は彼女とは違って
一人でどこかを旅するのに慣れていない。
彼女のように旅行の計画を立てることさえ簡単ではない。
これだけはどう手をつければいいのか分からない。
とても手が出せないバケットリストだ。
まず国を決めるべきだろうか?
旅行期間を先に決めるべきだろうか?
予算に合わせて計画を立てるのが正解だろうか?
チョンアさんならどうしただろう...
私は最後に残ったバケットリスト一つのせいで
頭を悩ませていた。
それでチョンアさんの姉に
助けを求めることに決めた。
「もしもし?フンジさん?」
「お姉さん、こんにちは。」
「フンジさん。どうしたの?」
「チョンアさんに会いたくなったら
連絡しなさいって言われましたよね。」
「あ... そうだった。私がそう言ったんだったね。」
「あの、お姉さんの助けが必要です。」
「何?」
私に手伝えることがあるの?」
「チョンアさんの日記帳に
僕と一緒にしたいって書いておいた
バケットリスト、見ましたよね?」
「いちばん後ろのページに挟んであったやつのこと?」
「はい。そうです。
チョンアさんはいないけど...
僕が一つずつやりながら
消していってます。」
「まあ... 本当?
チョンア、きっとすごく喜ぶわ...」
「でも最後に一つ残っていて...
これはとてもじゃないけど無理です。」
「何なの、それ?」
「世界旅行することです。」
「ああ... 私もそれを見て
チョンアらしくなく
どうして具体的に書かなかったのか
不思議に思ってたの。」
「世界中を全部回るつもりなのか...
一体どれだけ長く旅をしなきゃいけないのか
見当もつかなくて。
それに私は一人旅をしたことがないから
これをどうすればいいのか全然分からないんです。」
「あとで私は... そう思ったの。
フンジさんが忙しいから
一緒に時間を作れるときごとに
行きたかったんじゃないかって...
だからどの国へ行くか、
どれくらい滞在するかを決めておけ
なかったんじゃないかって思ったの。」
「あ... お話を聞くと
本当にそうかもしれませんね...」
「だからあまり負担に思わないで...
ただフンジさんが行きたいとき、
そうできる状況になったときにやって。
そうだ。それとチョンアがいる納骨堂...
行ける勇気が出たら言って。
教えるから。」
「はい... まだ...」
「フンジさん...
あまりチョンアを忘れないように
無理に頑張らなくていいのよ。
生きていくうちに自然に忘れていって
生きている人は生きていけるの。」
「チョンアさんは...
僕にとってタトゥーみたいなものです。
消そうとすればするほど、すごく痛いんです。」
「それでももう
フンジさんの人生を生きなきゃ。
演技もまた始めて...」
「チョンアさんを覚えていて
恋しく思うのも僕の人生です。
無理に忘れたくないんです。
チョンアさんの最後のバケットリストを叶えてあげてから、
それから考えてみようと思います。」
「私はチョンアの姉だからかな...
フンジさんがうちのチョンアを忘れないでくれて
ありがとう、本当にありがとう...」
通話を終えると、
少しだけ彼女の世界旅行がはっきりした。
行きたい国から決めて、
各国にどれくらい滞在するか決めることにした。
'彼女なら... どこへ行きたがっただろう?'
まずヨーロッパに決めた。
そして彼女が行ったことのある国は除外した。
するとある程度輪郭が見えてきた。
その中からいくつかの国を選んで
二か月ほど旅行することにした。
'思ったより大したことないじゃないか?
チョンアさん、今ちゃんとできてますよね?'
彼女に叱られないためには
もう日程をきちんと組まなければならない。
各国でどの都市を訪れるか、
その都市でどこを見て回るか決めなければならなかった。
日程が決まったら、その次はホテルと飛行機、
列車の切符まで予約しなければならない。
僕たちが旅行に行くたびにいつも
チョンアさんが全部やってくれていた。
私は本当に何もできなかった。
日程を組むだけで一か月以上かかった。
そしてようやく予約まで済ませた。
あとは出発するだけだ。
そして出発前に、
最後にチョンアさんの姉を訪ねて
彼女がいる場所を聞いた。
旅行に出る前日、
私は彼女に会いに行くために道へ出た。
彼女に渡したかったけれど、
まだ手渡せないまま
私が大事に持っているものがあった。
指輪...
そして彼女に送る私のラブレター。
「行ってきます...」 <115話の中で>
**次回はシーズン2の最終エピソードです🥹